日本国内において、ペット保険への認知はここ数年大幅に上がってきており、加入率も15%を超えたと言われています。その中で、最も認知度・ペット保険シェアが高いのが業界最大手と言われてアニコム損保でしょう。
一方で、アニコムはペット保険の中でも保険料が高いと言われております。保険料が高いにも関わらず人気の理由とメリット・デメリットに関して元ペット保険会社の方にインタビューしてみました。
この記事は2023年7月時点での内容を基にお話ししています。補償や保険料、サービスの最新情報に関しては必ず、アニコム及び、各社ホームページを確認してください。
Contents
アニコムはどんなペット保険会社なのか
一般的に「アニコム」はアニコム損害保険株式会社を指し、東京に拠点を置くペット保険会社です。
契約件数は100万件(2023年3月末で1,113,144件)を超え、ペット保険のシェアは1位で全体の50%を超えているとも言われています。(※シェアは各社の2021年の契約件数から算出。(㈱)富士経済発行「2022年ペット関連市場マーケティング総覧」調査)
アニコムホールディングス株式会社の子会社であり、グループ全体の経営戦略・企画を担っています。アニコムホールディングス株式会社は2007年12月に保険持株会社免許を取得。アニコムホールディングス株式会社は、日本の損害保険会社のひとつであるアニコム損害保険株式会社を所有しています。
アニコム損害保険株式会社は「どうぶつ健保」というブランド名でペット保険を提供しています。
保険商品としては通院・入院・手術対応の「ふぁみりい」「ぷち」「しにあ」の3つがあり、手術・入院特化の商品やシニア向けの「しにあ」もあります。
加入できるのは、犬、猫、うさぎ、フェレット、鳥です。
そもそもアニコムって保険料は高いの?
基本的な疑問としてアニコムは保険料が高いとは、ほんとうなのかを聞いてみました。
メガネ犬編集長:「ありがとうございます。それでは早速なのですが、今回はアニコム損保のお話を伺いたいと考えてまして、アニコムはペット保険においてシェアナンバー1といわれているものの、保険料が高いといわれています。やっぱりお高いんでしょうか?」
元ペット保険会社社員イカネコさん:「保険料だけを他社と比較してみると保険料が高いということになる場合もあります。
保険料はざっくり申し上げると。補償やサービスや会社の運営にかかる費用などを鑑みて決められていますので、アニコムの場合、補償内容や付帯サービスなんかも考えてみると一概に保険料は高いと言えないんですけどね。
なので、払っている保険料に対して、期待していたサービスが受けられないならば、その方にとって高いというのはあり得ます。期待以上・期待通りであれば高くないと言えますね。あとは、お客様のご予算に合わないから高いというのはあると思います。
ただ、ペットの寿命は人よりとても短く、長くても20年程度です。100%自己負担になる医療費などを考えるとどうでしょうか。
それを考えると保険料だけではなく、補償も見た方が最終的には賢い選択になるとは思います。
また、補足ですがいくつかあるアニコム商品のうち、通院・入院・手術をフルカバー「ふぁみりぃ」と同程度の補償内容のペット保険と比べた場合高いと感じる方がいらっしゃると認識しています。」
メガネ犬編集長:「ああ、なるほど。保険料って比較するには一番わかりやすいですもんね。あ、こっちの方が1,000円安いとか高いとか。
ペットは医療費10割自己負担で、人間は3割負担とは言いますけど、任意の保険はともかく、実際人間の公的な健康保険は結構払ってますからね。。」
元ペット保険会社社員イカネコさん:「公的な健康保険と任意加入のペット保険を比べていいか分かりませんが、そこと比べればペット保険は安いですね。
話はペット保険に戻りますが、例えば手に取れる洗濯機とか冷蔵庫などの家電等だったら、もちろん金額も気になりますけど、どういう内容・性能なのかがかなり重要だったりしますからね。
日々使用し自分の手で使う商品の機能・性能は日々つかうので想像しやすいんですが、保険はペット保険に関わらず、手に取れない商品で、かつネットだとお客さん自身が比較したり、考えないといけないので、なかなか補償ってわかりずらいし比較しずらいので「保険料」での比較というのが、高い、安いで一番わかりやすいです。
結果、アニコムの保険料は高いと感じる方がいらっしゃるのではないかと思います。」
メガネ犬編集長:「ある程度補償とかサービスが充実しているので、保険料が他社と比べると高いという可能性があるってことですね。」
アニコム損保が保険料が高いのに人気の理由・加入のメリット
アニコムのペット保険は保険料が高いにもかかわらず、人気がある理由は以下のようなものがあるとされます。
窓口での清算ができるので保険金請求不要
人間の健康保険証のように使えますし、契約者からすると病院での支払いに割引が入ったような感覚になりますからね。
それと、実際に健康保険証がもらえて、そこには契約したペットの写真が入るので、加入者からすると特別な感じがします。私の家族もアニコムに入っていたことがあって、保険証が届くとすごく喜んでましたね。ペラペラのカードかと思ったら結構厚みがあってしっかりしているのも印象が良かったですね。
アニコム損保 どうぶつ健康保険証
画像参照:https://www.anicom-sompo.co.jp/products/insurance1/
ペットオーナー目線のサービスが充実している
迷子捜索サポートサービス
家からの脱走や散歩時にリードが切れてしまったなどで迷子になったペットたちの捜索を手助けしてくれるサービスです。(*発見を補償するサービスではありません。)*1
- 迷子になった家庭動物を契約者等が捜索するための、基本的なアドバイスをしてもらえる。
- アニコムが運営する迷子捜索に関するWEBサイトへの迷子情報の掲載、あるいは迷子情報掲載依頼の取次ぎをしてもらえる
- 迷子になった家庭動物を発見した発見者からの連絡の取次ぎをしてもらえる
- 迷子捜索を専門に行うペット探偵がかけつける無料サービスが受けられる。「ジャパンロストペットレスキュー(JLPR)」と提携。
捜索は動物の行動習性を熟知した専従スタッフが実施し、発見率は猫で約85%程度とされています。
チラシ貼りとか個人だけでは限界がありますし、今の時代はSNSで拡散されると見つかるケースも増えますね。犬猫に限らず鳥、ウサギなどアニコムに加入しているペットならこのサービスを無償で受けられます。
・3日間の捜索料金と出張料が無料
・正式な依頼後に飼い主さまと事前に打合せをし、その後ポスター・チラシの作成、現場付近での捜索、捜索状況や結果の報告
・ペットを発見できなかった場合でも、その後新たに情報を入手した場合には報告
これって、JLPRのホームページ記載の内容によると、小型犬、猫、他小動物で¥79,000(税込¥86,900)/計3日間、1日8時間の捜索を実施(深夜捜索も同料金)*2
※事前打ち合わせ費¥5,000(税込¥5,500)を含みます。
とあるので、プロに頼むとそれなりの金額になるので、もしもの際は頼りになりますね。
▼参照
*1アニコム ペット探偵による迷子捜索サービス
https://www.anicom-sompo.co.jp/special/maigo/
*2「ジャパンロストペットレスキュー(JLPR)」
http://www.jlpr.net/index.html
どうぶつホットライン
アニコムグループには150人の獣医師が在籍しており、その知見を活かして、サービスを担当する専門家( 獣医師、ドッグトレーナー等)が契約者の病気やしつけ相談に乗ってくれます。
- LINEで友達登録をし、テキストや写真・動画を投稿することで回答してくれます。
ただ、このサービスのポイントは自社の150人の獣医師の知見で運営していて、かつ無償である点ですね。
このサービスはLINEが前提になっています。電話だとつながらないケースもありますが、LINEであれば気軽に聞けますね。さらに、犬猫に限らないところもポイントです。
どうぶつ健活
健康診断の一環として、病気の早期発見に役立つ健康チェック「腸内フローラ測定」が、毎年受けられるサービスです。検査結果によっては、無料で動物病院での健康診断が受けられます。
- ペット(犬・猫)のうんちを送るだけで、腸内細菌のバランスから腸内年齢や病気のなりやすさを判定し、測定結果に応じて、無料で動物病院での健康診断が受けられます。
- この健康診断は、犬·猫に対し、アニコムが指定する動物病院での血液検査が対象です。
私の解釈ですが、病気になるのは、飼い主にもペットにも保険会社にもマイナスで、できうる限り健康であることの方がみんな幸せだから予防できるといいよね。ということなんじゃないでしょうか。
いずれにせよ、契約者にとってはうれしいサービスです。
参考:どうぶつ健活 https://www.anicom-sompo.co.jp/special/doubutsu_kenkatsu/
その他サービス
今では、同サービスを行っているところは複数あるらしいですが、誕生日を家族以外から祝ってもらえるのはうれしいですね。それとペットの熱中症予報ですかね。ここのところ日本の夏は暑すぎて大変ですが、犬猫については日中は外に出てはダメな感じなことがよくわかります。
最後は、「家庭どうぶつ白書」ですね。これは一般の方にもおすすめなんですが、ペット業界の方は結構な数の方が見ているんじゃないでしょうか。とにかく情報量がすごい。日本のペット関連の統計データとしてはトップクラスでしょうね。
なんかアニコム推しみたいになってますが、ニュートラルな目線で、すごいなー、と思っていました。
更新時に年間の補償限度日数がリセット、原則終身契約が可能
基本的にペット保険は、1年ごとの更新になります。
その1年に対して補償限度日数、日数は無制限で限度額あるケースのペット保険商品がありますが、更新した場合、使った限度日数、限度額が戻らないペット保険あります。(特定疾患に免責が付く、次年度引き受け不可になることとはまた別の話です。)
アニコムについては、次年度も補償限度日数が現時点(2023年7月)ではリセットされる形になっています。
犬猫に関しては、寿命が年々伸びていますし、飼い主の方もほとんどの方が長生きできるように健康に気を付けていますので、終身であることはポイントになると思います。犬で20歳というのは、それなりに珍しいのですが、猫では、20歳は珍しくないので猫のペット保険を検討されるのであれば、終身はかなり重要になるかと思います。
犬猫以外も加入できる
動物病院でもフェレット、うさぎ、鳥、ハムスターなどの小型動物、爬虫類などのヘビエキゾチックアニマルを専門に扱う病院は少ないですね。
また、各動物の病気・ケガのリスクに関してのデータがないとなかなか保険は作れませんので、そのあたりも関係しているのではないでしょうか。
規模感・認知度に対しての信頼感
私の経験ベースで申し上げると会社員のお客様の場合は「上場」しているという部分はポイントが高い印象です。さらに、創業者が元東京海上の方(創業者のアニコムホールディングス代表取締訳社長小森伸昭氏は東京海上火災保険株式会社出身)というのも保険としての信頼になると営業先のお客様に言われたこともあります。
ただ、そうした企業としての規模感も大切なのですが、認知度に関わる全国の動物病院やペットショップでよく目にすることがあるというのが大きい気がします。
ペット保険の検討前の方にペット保険と聞いても、「アニコム」あるいは同じく窓口決済をしている「アイペット」くらいしか知らないケースが多いです。窓口決済で別の患者さんがカードを出して割引(実際は保険適用がされている)のを目にしたことがあり、あれはなんだろうというところから「アニコム」を知るケースも多いんですよね。シールも貼ってありますし。
こうした「認知度」からくる「聞いたことがあるペット保険」という安心感や信頼感というのは、人気がある理由だと思います。
- 窓口での清算ができるので保険金請求不要
- ペットオーナー目線のサービスが充実している
- 更新時に年間の補償限度日数がリセット、原則終身契約が可能
- 犬猫以外も加入できる
- 規模感・認知度に対しての信頼感
アニコム加入のデメリットは?
ここまでメリットといえるような部分を説明してきましたが、アニコムに加入・契約するデメリットは何になるのかインタビューしてみました。
保険料関連について
デメリットの話に戻りますが、やっぱり、保険料関連ですかね。
保険料を考えた場合の継続可能か?を考える必要がある。
その場合、年齢とともに変わる保険料を高いと感じるのであれば、かけ続けられない可能性があるので、よく検討が必要です。
保険料が高ければ途中で乗り換えればいいという意見があると思いますが、大きな怪我や病気が起きると別のペット保険会社に乗り換えることができなくなる可能性があり、契約ができても免責や加入前の病気は補償対象外になります。人間の保険でも大きな病気の罹患経験があると加入が難しくなる、免責がつくというのと同じですね。
というわけで、単年ごとの契約でありながら、ペットの一生を考えた契約の検討が必要です。
ペットの一生を考えたなかで、補償やサービスが良いとしてもかけ続けられなければ意味がないので、それができるかどうかというのがペット保険加入のポイントになります。
犬種によって保険料が細分化されている
100万件以上も契約があるので(2023年3月末で1,113,144件)、膨大な保険金支払いデータから、どの犬種がどんな病気にかかりやすいか分析し、リスクの高い犬種の保険料は高くなるのではないでしょうか。ただこの細分化ですが、今ではアニコムだけではなくなってきてはいます。
保険料の健康割増がある
保険利用回数 | 次年度保険料の割増引率 |
0回 | 10パーセント割引 |
1回から5回 | 5パーセント割引 |
6回から19回 | 変更なし |
20回から39回 | 20パーセント割増 |
40回以上 | 50パーセント割増 |
その代わり一定未満の請求であれば、据え置き、健康で請求がなければ割引になるので、デメリットばかりではなく、健康で継続契約となった方にはメリットとも言えます。アニコムは予防保険目指しているので、そのあたりが反映されているのではないでしょうか。
ただアニコムだけが保険料が上がるのかというと、過去には、他ペット保険会社でも商品全体あるいは特定の年齢・犬種で保険料を上げるというのはありました。逆に値下がりしたケースもあります。
保険料を上げるというのは、他社との競争から保険が売れなくなる可能性があるので、保険会社的にはやりたくなことなんですが、想定よりも請求が多く、保険を維持するのが難しくなる可能性があるためです。
とはいえ契約中の方にとっては不利益なことですから、どんな理由にしろ保険料が上がるのはデメリットですね。
補償ごとに限度金額、限度日数がある
一方で現在では、補償(通院・入院・手術)ごとに限度金額、限度日数はなく、契約に対しての限度額のみが設定されていてその範囲であれば、OKというタイプの保険が出てきています。
アニコムも以前は「どうぶつ健保ふぁみりぃ ワイドタイプ(限度日数なし)」があったんですが、今では新規加入はできなくなっています。残念ですね。
また、年間上限回数が決まってしまっていると、慢性的な疾患などにかかってしまった毎月複数回通わないといけないようなケースは回数でも上限に達してしまうケースも考えられます。
アニコムの健康保険証が使えない病院がある。
健康保険証が発行される商品であれば、皆さんのお手元に届きますが、つかえないとがっかりしますよね。健康保険証での窓口清算を期待しているかたであればなおさらです。
しかし、かかりつけで使えないとなると、LINE請求はできるとはいえ、ちょっと検討が必要かもしれませんよね。
なので、加入前には必ず、かかりつけでアニコムの健康保険証が使えるかどうかの確認はしましょう。
ペット保険補償開始に関して、病気の待期期間がある
ペット保険に加入する前にかかっていた病気が保険加入後あまり時間をおかずに発症する可能性もあります。そのため、病気の潜伏期間として待機期間が設定されるペット保険があります。
- 保険料関連について
・保険料を考えた場合の継続可能か?を考える必要がある。
・犬種によって保険料が細分化されている
・保険料の健康割増がある - 補償ごとに限度金額、限度日数がある
- アニコムの健康保険証が使えない病院がある。
- ペット保険補償開始に関して、病気の待期期間がある
まとめ アニコムの保険料を高いかどうかは補償を見てから判断しよう
以上のように、アニコムのペット保険が保険料が高いにもかかわらず人気がある理由は、補償内容が充実していることや窓口での清算ができること、飼い主の寄り添ったサービスなど信頼性が高いことなどが挙げられます。
保険料が高いかどうかは、各家庭の家計の状況とアニコムの補償内容を総合的に判断した結果どうかという部分になると思います。
一方で、保険料に関する事柄、窓口決済をできない病院がかかりつけだった場合がデメリットとして挙げられますね。
はい、どんな保険にもメリット、デメリットがあります。アニコムに関しては、保険料だけ比べると高いというケースもあるかと思いますが、サービスや補償・信頼などを鑑みると、納得感があり、高いわけではない、高いと感じるけど価値があると感じる方がいらっしゃるの、多くの契約者がいるということかと思います。
今回はアニコムについてお話させていただきましたが、ペット保険を検討されるときはアニコムに限らず、保険料も重要ですがそれ以外の補償などもよく確認し、納得感をもって加入することが大切と言えます。
不満があり、他の保険に移ろうとしたときに、ペットの年齢や病歴で制限がかかる、加入できないケースなど、困ってしまうこともあり得ます。
そうしたことから、ペットの寿命から逆算し、継続可能で飼い主の方が信頼できると感じたペット保険への加入が重要です。
アニコムの保険料が高いのか?ということから話が広がりましたが、1面的な部分でみてしまうと正確な判断ができない可能性もありますので、皆さまのペット保険選びでも、保険料のみで選ぶと決めている方以外は、総合的に判断して、納得できる形でご検討してみてください。
・保険料だけ見るとアニコムは高いと感じる方がいる
・アニコムの補償やサービス、窓口決済などを考えると必ずしも高いとは言えず、こうしたサービス面が保険料が高いといわれる中で人気の理由と考えられる。
・加入にはデメリットもあり、他社にも存在するデメリットもあるが、保険料の部分は、ペットの一生を考えた場合継続可能かなど含め、検討した方が良い。
ペット保険のアニコムは保険料が高いのになぜ人気がある? よくある質問 FAQ
Q1: アニコム損保のペット保険の契約件数はどのくらいですか?
A1: アニコム損保のペット保険の契約件数は、2023年3月末で100万件を超えています。
Q2: ペット保険の認知度・加入率はどの程度上がってきていますか?
A2:認知度は年々上がっていると言えます。加入率は15%を超えているといわれています。
Q3:アニコムのペット保険は高いのでしょうか?
A3:アニコムの保険料は他社ペット保険と比較した場合、高いケースはあります。
一方で補償とサービスなどを鑑みた場合、アニコムの保険料が必ずしも高いとは言えません。ペット保険を検討する場合は、補償・サービスなど保険の中身と保険料のバランスを考慮した方が、よりペットにあった保険選びができます。