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本当に賢くない犬はいるのか?犬の知能と犬種の理解について
犬は長い歴史を通じて人間の側にいるパートナーであり、多くの家庭では重要な家族の一員として扱われています。
しかし、時として「頭の悪い犬種」という表現が使われることがあります。
例えばバラエティなどでおバカ犬などと紹介されることもありますがそれは本当なのでしょうか?
これは、犬の知性や特性に対する誤解や偏見に基づくことが多く、犬種ごとの特性を正確に理解し評価することが重要です。一般的には家庭で飼育しにくいからということで評価がされているケースが多いようにも感じます。
犬の知能の評価について
犬の知能を評価する方法はいくつか存在しますが、一般的には「訓練のしやすさ」や「命令の学習と実行の速さ」が指標とされます。
スタンリー・コレン教授の著書『犬の知能』では、犬種による知能の違いをランキング形式で紹介しており、これが広く知られる基準の一つとなっています。
しかしこのランキングが示すのはあくまでも「服従訓練における学習の速さ」という側面であり、これが犬の知性の全てを表すわけではありません。犬種によっては、狩猟や牧羊、警護など特定の役割に特化して進化してきたため、それぞれの犬種が持つ独自の賢さや能力があります。
スタンリー・コレン教授の著書『犬の知能』では、犬種の知能を「命令に対する理解と服従の速さ」を基にランキングしています。
このランキングでは、犬種を「非常に優れている」「優れている」「平均的」などのカテゴリに分けています。具体的なランキングの一部を紹介します:
非常に優れている(トップクラスの知能)
- ボーダーコリー
- プードル
- ジャーマンシェパード
- ゴールデンレトリバー
- ドーベルマンピンシャー
これらの犬種は、新しい命令を5回以下の繰り返しで理解し、95%以上の確率で最初のコマンドで命令を実行するとされています。
優れている
- ラブラドールレトリバー
- シェットランドシープドッグ
- パピヨン
平均的
- ダックスフント
- ウェルシュ・コーギー
- ミニチュア・シュナウザー
優れていない
- ボクサー
- マスティフ
- ビーグル
これらの犬種は新しい命令を理解するのに40回以上の繰り返しが必要で、最初のコマンドで命令を実行する確率は30%以下とされています。
コレンの評価は、犬種がどれだけ早く命令を学び、どれだけ確実に命令を実行できるかに重点を置いていますが、これはあくまで一つの側面であり、犬の知能全体を評価するものではありません。犬の個体差やその他の知能の側面(問題解決能力や社会性など)も重要です。
ただ、これらの犬がペットとして優れているかどうかとは別になります。
犬種ごとの特性と適応
例えば、ハウンド系の犬種は独立心が強く、狩猟本能が非常に高いです。
これらの犬種は、一人で獲物を追跡し、狩りを行う能力が求められるため、服従訓練の指標で低い評価を受けがちですが、これは「頭が悪い」というよりは、「特定のタスクにおいて高い専門性を持っている」と解釈するべきです。
一方で、ボーダーコリーのように服従訓練で高い評価を受ける犬種もいます。
これらの犬種は、羊の群れをコントロールするために、人間の指示に素早く反応する能力が育まれています。
これもまた、その犬種が持つ特化した知能の表れです。
犬の知能への新しいアプローチ
犬の知能に関する研究は日進月歩で進んでおり、近年では犬の社会的知能や問題解決能力、感情を理解する能力が注目されています。
これらの研究からは、犬が単に命令を覚えて実行するだけでなく、状況を判断し、感情を共有し、時には創造的な解決策を見つける能力を持っていることが明らかになっています。
まとめ
「頭の悪い犬種」という考え方には慎重であるべきです。
犬種ごとの歴史や進化の過程、それぞれの犬種が持つ独自の能力を理解し、それぞれの犬に適した評価を行うことが、真に犬との良好な関係を築く鍵となります。
ただペットにしたいということであれば、そのように改良された犬を飼育するべきでしょう。見た目だけではなく、犬の多様性と個々の犬が持つユニークな資質を尊重し、それぞれの犬が持つ可能性を最大限に引き出す努力が求められています。