犬は本来、犬種にあった適正な飼育である場合は、肥満になるということはほとんどありませんが、本来運動が多く必要なのに運動時間が短い、ついついおやつをあげ過ぎてしまうなど人間側の都合により太ってしまうことがあります。
この記事では、特に太りやすい犬種や太ってしまう原因とその対策などに関してまとめてみました。犬をこれから飼う方、愛犬が太り気味かなと思っている方も含め、日々の愛犬の健康維持の参考にしていただければ幸いです。
Contents
そもそも「太りやすい犬種」とは?
そもそも太りやすい犬種という括りはありませんが、一般的に太りやすい犬種とは、遺伝的に太りやすい、運動不足などの理由で体質的に太りやすい犬種です。ただし、犬種にあった運動量や食事量を保っていれば中々太る状態になることはありません。
はっきり言ってしまえば、飼い主がしっかり犬種のことを理解して飼育していれば太る・肥満の状態にはなりません。
ちなみに、太りすぎの犬は、糖尿病、心臓病、関節炎などの病気にかかりやすく、寿命が短くなることもあります。
犬の太っている状態とは
犬の肥満状態の指標としては、以下のBCS(ボディ・考察・スコア)は、犬の体型を判断する際の目安となります。
BCSは犬の健康状態を評価する重要な指標です。理想的な体型であるBCS 3を維持することが重要であり、やせすぎや肥満は健康リスクを考慮する可能性があります。栄養摂取を行うことで、犬の健康と幸福を促進することができます。 定期的な健康チェックとBCSの評価を行い、必要に応じて食事や運動の調整を行います。
BCS 1: 痩せ
肋骨、腰椎、骨盤が外から容易に見える。触っても脂肪がわからない。腰のくびれと腹部の吊り上がりが顕著。
BCS 2:やや痩せ
肋骨が容易に触れる。上から見て腰のくびれは顕著で、腹部の吊り上がりも明瞭。
BCS 3: 理想体重
過剰な脂肪の沈着なしに、肋骨が触れる。上から見て肋骨の後ろに腰のくびれが見られる。横から見て腹部の吊り上げりが見られる。
BCS 4: やや肥満
脂肪の沈着はやや多いが、肋骨は触れる。上から見て腰のくびれは見れられるが、顕著ではない。腹部の吊り上がりはやや見られる。
BCS 5:肥満
熱い脂肪におおわれて肋骨が容易に触れられない。腰椎が容易に触れない。腰椎や尾根部にも脂肪が沈着。腰のくびれはないか、ほとんど見られない。腹部の吊り上がりは見られないか、むしろ垂れ下がっている。
*出典:環境省「飼い主のためのペットフード・ガイドライン ~犬・猫の健康を守るために~」
太りやすい犬種の特徴
一般的に太りやすい犬種にはいくつかの特徴があります。
避妊・去勢後に太ってしまう
全犬種共通ですが、避妊、去勢後に太ってしまうケースは多々あります。
犬が避妊・去勢後に太る原因は、ホルモンバランスの変化です。
手術により繁殖に必要な性ホルモンが減少し、1日に必要なカロリーも約8割減少します。前と同じ食事量を考えて、カロリー摂取が過剰となり太る傾向があります。
小型犬が多い
日本においては、小型犬の飼育頭数が圧倒的に多いので、肥満などに悩む飼い主が多いために
具体的な犬種としては、チワワ、ミニチュアダックスフンド、トイプードルなどが日本での人気犬種なので、肥満に悩む飼い主も多いのではないでしょうか。
骨太で筋肉質な体型の犬が多い
骨太で筋肉質な体型の犬というのは一般的に運動能力が高く、それに比例した運動量が多い犬種であることが多いと言えます。
例えば、狩猟犬、闘犬、警察犬などのために犬種改良をされてきた犬種などが挙げられます。これらの犬種が家庭犬になった場合、運動量が足りず太ってしまうことがあります。
犬種的には以下のような犬種例です。
- チベタン・マスティフ
- ロットワイラー
- ブルドッグ
- ラブラドール・レトリバー
- ゴールデン・レトリーバー
など
食欲旺盛な犬が多い
犬は満腹感を感じにくい特徴があります。ブルドッグ、フレンチブルドッグ、パグなどの短頭種の犬種に悪食や食いしん坊が多いと思われがちですが、あまり関係はなく全犬種に言えます。
そのため、どの犬種というわけではなく全犬種的に食べさせ過ぎには注意しなくてはなりません。日々の食事回数は適正でも、かわいいからとおやつをあげ過ぎたり、盗み食いを見逃していたりすると、太ってしまうことがあります。
運動量が少ない犬が多い
小型犬に多い傾向ですが、そもそも運動が少なくてよい犬種で食べる量だけ増えると、代謝も低いので、太りやすく、避妊・去勢済みの場合さらに太りやすくなります。
このような犬種は骨も細いので、自分の体重によりけがをするケースも発生しやすくなります。
犬種的には以下のような犬種例です。
- ペキニーズ
- 狆
- チワワ
- マルチーズ
- ポメラニアン
- シーズー
- パグ
- キャバリア
など
太りやすい犬種を太らせないための対策
太りやすい犬種を太らせないためには、いくつかの対策が必要です。
食事量を調整する
まずは、食べる量に関しての調整が大切です。
一つは、日々の食事を年齢・体格・体重・犬種を鑑み、必要な栄養素を必要な量を与えることが大切です。調整というのは、少なく与えるのではなく適切に与えることです。
適切な量に関しては、ドライフードの裏側やウェットフードの説明に記載がありますが、体調・体重を気にしつつ、獣医師と相談し決めていくとよいでしょう。
参考までに以下が食事の計算式です。
犬の食事量の計算式
以下のような計算式で目安を計算することができます。これは猫にも当てはまる計算式です。
安静時のエネルギー要求量(RER)(キロカロリー)=体重(kg)×30+70
1日当たりのエネルギー要求量(DER)(キロカロリー)=RER×係数
1日当たりの食事量=DER÷ME(ペットフードに表示された代謝エネルギー)×100
運動量を増やす
犬も人間も同じですが、食事が適量であったとしても、運動をしないと太ります。必ずしも激しい運動が必要というわけではなく、運動量は年齢・犬種にあったものが必要です。
狩猟犬に向いた犬種などの場合、きちんとした散歩量、ドッグランで走らせるなど飼い主がきちんと運動量を確保することが必要です。一方で、老齢の犬に激しい運動は不要ですし、超小型犬種に対して長時間の散歩や運動は逆に心臓、関節に悪影響が出るケースもあります。
初めて飼育する犬種であれば、ブリーダー、獣医師に相談するとよいでしょう。
定期的に健康診断を受ける
食事・運動で獣医師への相談を推奨しましたが、定期健診は、肥満でなくても大切です。
飼い主にとって、犬の体重が適切と感じていても獣医学的には、痩せている、太っているということは往々にしてあることです。病気の予防も含め定期診断はとても大切です。
太りすぎの犬の健康リスク
太りすぎの犬は、以下のような健康リスクがあります。人間で例えると成人病になるようなイメージです。
- 糖尿病
- 心臓病
- 関節炎
- 呼吸器疾患
- 肝臓病
- 腎臓病
- 癌
太りすぎの犬のダイエット方法
太りすぎの犬のダイエット方法は、以下のような方法があります。
- 食事療法
- 運動療法
- サプリメント
太りすぎの犬の食事療法
太りすぎの犬の食事療法では、以下の点に注意が必要です。
- カロリーを制限する
- 糖質を制限する
- 食物繊維を多く含む食事にする
- タンパク質を多く含む食事にする
太りすぎの犬の運動療法
太りすぎの犬の運動療法では、以下の点に注意が必要です。
無理のない運動をする
痩せるためだからといって、激しい運動はよくありません。
焦って激しい運動を行ってしまうと、大きな負担がかかる足関節、膝や腰などに大きな負担となり、怪我を誘発させますので注意しましょう。
徐々に運動量を増やす
激しい運動ではなく、徐々に運動するのが、体重を健康的に落とすコツです。
獣医師やドッグトレーナーと相談し、スケジュールを組み、一定の運動量を継続しながら、体重との兼ね合いをみながら徐々に運動量を増やしていきましょう。
水分をたくさん飲ませる
運動には水分が必要になるのは犬も人間も同じです。特に筋肉量の多い犬種は多くの水分を必要とします。体重が増える可能性があるからといって、水分を十分に与えないのは非常に危険です。
太りすぎの犬の健康管理
太りすぎの犬は、以下のような点に注意が必要です。
定期的に体重を測定する
見た目の違いが分からなくても順調に体重が落ちているケースがあります。
人間にとって数百グラムは少なくても、小型犬、中型犬などの人よりも小さな犬種にとっては非常に大きな割合を占めます。数百グラムから数十グラム単位ではかれるような体重計での定期的な計測が望ましいでしょう。
体調の変化に注意する
食欲の低下や、大幅な体重の低下があった場合は危険です。一旦ダイエットを見直す必要があります。また抜け毛や毛のつやがなくなってきている場合も要注意です。
定期的に健康診断を受ける
ダイエットの場合、体重の変化と健康の変化に関して、獣医師と相談しながら健康診断を定期的にうけることが望ましいでしょう。飼い主では分からない健康異常が見つかる可能性もあります。
太りやすい犬種を飼っている場合は、これらの対策を参考に、犬の健康を守ってあげましょう。
まとめ 肥満は飼い主が作り上げてしまうものです。
肥満予防とその対策は、犬種によって異なることがありますが、適切な食事管理と適度な運動が重要です。太りやすい犬種は遺伝的な要素もありますが、生活習慣によって最も影響を受けます。結論としては飼い主次第ということです。
まず、飼い主として心がけるのは、肥満予防のために、正しい食事管理が必要です。正しい栄養バランスの食事を与え、過剰なカロリー摂取を優先することが重要です。犬は賢いので、どうすればおやつをもらえるのか学習し、うまく強請ることもできますので、そこは折れず、無駄に食べさせないようにし、定期的な体重管理や食事量の調整をしましょう。
適度な運動も肥満予防に効果的です。 犬の種類や年齢に応じた適切な運動プログラムを設定し、定期的に運動させることが必要です。 散歩や遊び、運動量に応じたトレーニングを取り入れることで、体重の維持や筋力の強化が促進されます。
また、定期的な健康チェックと獣医師との相談も重要です。獣医師は適切な食事プランや運動プログラムを提案し、必要なサポートをしてもらえます。
最後に、肥満予防とその対策は継続的な取り組みが必要です。飼い主の責任で愛犬の健康を守るために、正しい食事管理、適度な運動、獣医師との協力を心がけましょう。
太りやすい犬種とは?肥満予防・対策とダイエット法についてのQ&A
Q1: 「太りやすい犬種」の特徴は何ですか?
A1: 「太りやすい犬種」にはいくつかの特徴があります。まず、避妊・去勢後に体重が増えやすい傾向があります。また、小型犬や骨太で筋肉質な体型の犬、食欲旺盛な犬も太りやすいとされています。また、運動量が少ない犬も体重が増えやすいです。
Q2: 太りやすい犬種を太らせないための対策は何ですか?
A2: 太りやすい犬種を太らせないためには、まず食事量を適切に調整することが重要です。次に、運動量を増やすことで、カロリー消費を促し、健康的な体重を維持します。そして、定期的に健康診断を受けることで、早期に体重増加や関連する健康問題を発見することができます。
Q3: 太りすぎの犬の健康リスクとダイエット方法は何ですか?
A3: 太りすぎの犬は、心臓病、糖尿病、関節痛などの健康問題を引き起こすリスクが高まります。ダイエット方法としては、まず食事療法があります。カロリーの低い食事や栄養バランスの良い食事に切り替えることで、体重管理をすることができます。また、無理のない運動を始め、徐々に運動量を増やすことも重要です。その際、犬が十分に水分を摂取するように注意しましょう。そして、定期的に体重を測定し、体調の変化に注意し、定期的に健康診断を受けることも重要です。