犬の老化のサインは見逃すと危険！該当したら要注意、12個の老犬チェックポイント

犬は人間と違い顔にシワが増えた、腰が曲がったなど目に見える老化が見えづらい部分がありますが、人間同様に犬も老いによる体の衰えはあります。
こうした衰えを感じたら生活スタイルや接し方も変えていくことで、負担のない生活をを遅らせて上げる必要があります。
ただ、犬を飼うのが初めてだった場合、こうした老化のサインを見逃してしまうこともあります。
今回は、一般的に犬の老化のサインといわれるポイントをまとめてみました。

Contents

1 年齢から考える老犬（シニア）とは
2 老化がわかるシニア犬の行動の変化
3 老化がわかるシニア犬の見た目の変化
4 シニア犬（老犬）用の食事に切り替えるのはいつから？
5 まとめ　老化のサインに気づくことはその後の犬生を快適にできます
6 老犬に関してのよくある質問　Q＆A

年齢から考える老犬（シニア）とは

犬種や個体によって老化の速度は違い、一概に何歳からが老犬と断定することはできません。
ただ、一般的には７歳〜９歳からは老犬とされることが多いようです。
このように老犬の定義に幅があるのは、前述の通り、犬種や個体によって老化の速度は違いがあるためで、平均寿命も大きさにより異なります。

大型犬（ゴールデン・レトリーバー、秋田犬など）：１０歳〜１２歳
中型犬（柴犬・ビーグル、コーギー）：１３歳
小型犬（トイプードル・ミニチュアダックスフンド）：１４歳
超小型犬（チワワ・ポメラニアンヨークシャテリア・）：１５歳

参照元：https://dog.benesse.ne.jp/withdog/content/?id=32684

老化がわかるシニア犬の行動の変化

前述した年齢については、わかりやすい指標ですが。日々の生活のなかでの愛犬の行動の変化からも老化をよみとることができます。
以下に１つでも該当する場合は老化が始まっていると言えます。

①食事が減ってきた

高齢犬が食事量を減らす理由はいくつかあります。

その一つに、年齢とともに味覚や嗅覚が鈍くなり、食べ物が以前ほど美味しくないと感じることがあります。さらに、病気の影響、歯の痛みや口内炎などの健康問題、あるいは薬の副作用により食欲が減退することもあります。

老齢犬の食事量が減る病気

特に、高齢犬には慢性的な病気が多く、それらの治療のための薬物が食欲減退を引き起こすことがあります。

食事量が減る病気としては、慢性腎疾患、腫瘍、胃腸障害、肝胆道疾患、内分泌障害などがあります。これらの疾患は食欲減退だけでなく、体重減少などの問題も引き起こすことがあります。また、口腔内の問題、例えば歯周病や歯の欠損なども、食事を摂るのをためらう原因となります。

また、高齢犬は認知機能の衰えも起こりやすく、その結果として食事を忘れるという問題も起こり得ます。そして、高齢による関節や骨格系統の劣化により、痛みを感じて食欲が減退することもあります。

これらの可能性があるため、高齢犬が食事量を減らすようなら、必ず獣医師に診てもらうことをお勧めします。特に食欲が突然なくなったり、極端に食事量が減ったりした場合は、重篤な病気の可能性があるため、すぐに獣医師の意見を求めるべきです。

②物にぶつかる、名前を読んでも反応がないときがある

犬の視覚・聴覚は、人間と比べとても発達しています。ただし犬も人間と同じように、老化に伴い、視力や聴力の低下が起こります。

犬が物にぶつかるようになったり、名前を呼んでも反応が鈍かったりする場合、これらが原因となる可能性があります。これは老化犬の聴覚や視覚能力が衰えてきている可能性を示しています。

視力の低下について

犬の視力低下は、白内障や老年性核硬化といった病気が原因となることがあります。白内障は、目の水晶体が白く濁る病気で、これが進行すると犬は全盲になる可能性があります。一方、老年性核硬化は、目が白く濁るが視力には影響を及ぼさないとされています。

ただし、どちらの病気も初期段階では、飼い主が視覚障害に気づくことは難しいかもしれません。そのため、獣医師の定期的な診察が重要となります。

聴力の低下について

同様に、聴力の低下もまた、シニア犬にとって一般的な問題です。犬の耳は年齢を重ねると硬くなり、聴力が低下します。

しかし、完全に聴力を失う犬は比較的少ないとされています。耳の清掃や定期的な健康診断は、聴力維持のために必要なステップです。しかし、どの程度聴力が低下しているかを正確に把握するためには、専門的な聴力テストが必要となります。

聴力・視力の低下した老犬への対応と対策

これらの問題に対応するためには、シニア犬の生活環境を調整することも重要です。たとえば、視力が低下している犬にとって、家具の配置を変えることはストレスを引き起こす可能性があります。

同様に、聴力が低下している犬は、環境音によるストレスを感じる可能性があります。したがって、老化犬の快適さと安全性を確保するために、これらの調整を検討することが重要です。

視力が低下している犬のための配慮

家の中での移動を容易にするために通路を広く保つ、家具の配置を変えない、階段や段差には特に注意を払うといった配慮が必要となります。

視力が低下している犬に対しては、視覚信号よりも触覚や嗅覚を利用したコミュニケーションが効果的であることも覚えておきましょう。例えば、おやつやおもちゃを使って犬の注意を引くことができます。

聴力が低下している犬のための配慮

聴力が低下している犬には、音を使ってコミュニケーションを取るのではなく、身体的な触覚や視覚的なサインを使うことが有効です。

また、突然の大きな音が犬を驚かせ、ストレスを引き起こす可能性があるため、家の中での騒音レベルを最小限に抑えることも重要となります。

最後に、視力や聴力の変化は、犬がストレスを感じ、不安定になる可能性があるため、特にこの時期には愛犬に対する愛情と理解を示すことが不可欠です。

犬が自分の状況を理解し、新たな生活環境に適応するのを助けることで、老化とともに生じるこれらの変化を乗り越える手助けができます。そして、常に獣医師との密接なコミュニケーションを維持し、犬の健康状態についての最新の情報を得ることも、犬の健康を維持するために重要です。

③動きが遅くなってきた

若い頃はすばやく動いたり走り回っていたのに、あまり走ることがなくなったり、家族が帰ってきたときのお迎えにも遅れるようになってきたりと全体的に動きが遅くなってきた場合、足腰の衰えが考えられます。

特に後肢の衰えが現れやすく、前肢との歩幅が合わないなどの不具合によって、すばやく動けなくなっていることもあります。

高齢の犬が元気がなくなったり、活動量が減ったりする理由はいくつかあります。これらは、特定の疾患や老化による自然なプロセスの結果かもしれません。

病気が原因で動きが遅くなる

高齢の犬は、心臓、腎臓、肝臓の病気、がん、または関節炎などの病気を発症する可能性が高くなります。特にがんは10歳以上のペットの死因の約半分を占めており、人間とほぼ同じ割合で犬に発症します。これらの疾患は犬のエネルギーレベルと行動に影響を与え、活動量の減少につながる可能性があります。

視力と聴力の低下により動きが遅くなる

また、視力と聴力の低下は高齢の犬でよく見られる現象であり、これが犬の行動や活動レベルに影響を与える可能性があります。たとえば、視力が低下すると、犬は以前は楽しんでいた活動を避けるようになるかもしれません。詳しくは前項でも記載いたしましたのでえ参考にしてください。

関節炎により動きが遅くなる

さらに、関節炎は高齢犬でよく見られる疾患であり、これが犬の活動性に影響を与える可能性があります。

関節炎による痛みは犬がボールを追いかけることや、好きな椅子に飛び乗ることを難しくすることがあります。また、重度の関節炎は犬が移動するのを困難にし、その結果、犬の活動量が減少する可能性があります。

これらの健康上の問題のいずれにも該当しない場合でも、高齢の犬が元気がなくなる、または活動量が減るのは自然なことかもしれません。老化により、犬のエネルギーレベルと持久力は自然に低下します。したがって、高齢の犬が活動量を減らしたり、元気がなくなったりする場合、これは必ずしも深刻な健康問題を示すものではありません。

しかし、心臓病、腎臓病、肝臓病、がん、関節炎などの潜在的な健康問題により、これらの症状が引き起こされる可能性もあります。

また、行動の変化は、痛みや視覚または聴覚の喪失によるものかもしれません。また、これらの変化は認知機能障害の結果である可能性もあります。これは、人間の老人性痴呆と似た症状を引き起こし、これにより犬の行動やパーソナリティに変化をもたらすことがあります。

さらに、犬の体重も健康に大きな影響を与えます。過体重の犬は、関節炎、呼吸困難、インスリン抵抗性または糖尿病、心臓病、高血圧、皮膚問題、がんなどのリスクが高くなります。これらの問題は初期の警告徴候を示さないことが多いので、定期的な獣医師の訪問が推奨されます。

そのため、高齢の犬が活動量を減らしたり、元気がなくなったりした場合は、獣医師に連絡して診察を受けることをお勧めします。これは、早期発見と適切な治療が、犬の健康と快適な生活の維持に役立つからです。

④散歩に行きたがらなくなった

犬は屋外で獲物や家畜を追い回すことを仕事としていた犬種が多く、外出すること、走り回る飼い主と散歩に出るのを好みます。
超小型犬や、犬の体質と気候が合わない場合など、散歩に行きたがらないケースはありますが、老化により運動をしたがらなくなるケースがあります。
具体的には老化により四肢の関節や腰などが弱り、立ち上がることもつらいといった症状が出ているためです。

高齢の犬が散歩に行きたがらなくなった場合、それはいくつかの潜在的な健康上の問題が原因である可能性があります。具体的な例としては以下の内容です。

関節炎：これは高齢の犬によく見られる病気で、激しい痛みを引き起こす可能性があり、散歩や身体活動を嫌がります。関節炎を治療しないと、犬の生活の質の大幅な低下につながる可能性があります。
心臓病：犬が散歩にあまり熱心ではない場合、心臓に問題がある可能性があります。これは、疲労、呼吸困難、または運動能力の低下として現れる可能性があります。たとえ散歩に行っても息切れをしている、歩くのをやめるなどの場合は心臓病を疑う方が良いでしょう。
認知機能障害症候群 (CDS):人間のアルツハイマー病と同様に、CDS は混乱、見当識障害、および散歩や身体活動への関心の欠如などの行動の変化を引き起こす可能性があります。
視覚と聴覚の損失：人間と同様に、高齢の犬も視覚と聴覚の一部を失うことがあります。犬の視力や聴力が低下している場合、特に慣れない環境では散歩に出かけることをさらに嫌がる可能性があります。
がん：残念ながら、高齢の犬はがんを発症するリスクが高く、痛み、疲労、活動レベルの全般的な低下など、さまざまな症状を引き起こす可能性があります。
肥満:犬が太りすぎると、散歩などの身体活動をしたがらなくなる可能性があります。肥満は、関節炎、心臓病、糖尿病、さらには癌など、他のさまざまな健康上の問題を引き起こす可能性もあります。

行動の変化と同様、犬が散歩に行きたがらなくなった場合は獣医師に相談することが重要です。徹底的な検査を行って潜在的な健康上の問題を特定し、犬の生活の質を向上させるために適切な治療を提供します。

⑤触られるのを嫌がる（気難しくなってきた）

犬は人とのコミュニケーションとして、人間に撫でられたり、自ら体を擦り付けたりすることをしますが、老化により、こうしたコミュニケーションや触れられるのを嫌がるケースがあります。
老化とともに性格が頑固になり、主人に従うことよりもマイペースに過ごすことが増えてきます。
触ってほしいタイミングではないと嫌がることも出てくるのです。
皮膚炎や別の疾患などで触れられるのを嫌がることがあります。

高齢の犬は、健康に関連したものなど、さまざまな理由により、触れられることを嫌がったり、不機嫌そうに見えたりすることがあります。以下が具体的な例です。

痛みや不快感: 高齢の犬における行動の変化の最も一般的な原因の 1 つは、痛みや不快感です。関節炎、歯の病気、胃腸の問題、その他の健康上の問題が犬に不快感を与えたり、不機嫌にしたりしている可能性があります。犬は痛みを隠すのが非常に上手なので、行動の変化を真剣に受け止める必要があることに注意することが特に重要です。
感覚の低下: 加齢に伴う聴覚や視力の低下などの感覚の低下により、犬は不安を感じやすくなり、接触や突然の動きに対して否定的な反応を示す可能性が高くなります。感覚が低下した犬は、環境を以前のように解釈できないため、すぐに驚いたり、不機嫌になったりすることがあります。
認知機能障害症候群 (CDS) : 人間のアルツハイマー病と同様に、CDS は犬の混乱、見当識障害、行動の変化を引き起こす可能性があります。CDS の犬は、飼い主の愛情のこもった触れ合いなど、かつては慣れ親しんでいたものを理解しなかったり、覚えていないことがあり、イライラして反応することがあります。
皮膚の状態: アレルギー、感染症、寄生虫などの皮膚の状態は不快感やかゆみを引き起こす可能性があり、その部分に触れるとさらなる炎症や痛みが生じ、犬が触れられると拒否反応を示すことがあります。

触られることを嫌がったり、不機嫌になったりするなど、犬の行動の変化に気付いた場合は、獣医師に相談することが不可欠です。これらは、根本的な原因を特定し、適切な治療計画を立てるのに役立ちます。

高齢の犬の行動の変化は単なる老化の兆候として無視されるべきではなく、より深刻な根本的な健康問題の症状である可能性があることを覚えておくことが重要です。

⑥トイレの失敗が増えてきた

子犬の頃は、間違ったところにおしっこなどをしてしまうなど、トレーニングが完全ではない場合失敗はよくあることです。しかし、きちんとしたトレーニングをした成犬でも失敗してしまうことがあり、老化が原因のケースもあります。
具体的な症状として、頻尿です。排尿のコントロールができなくなってきてしまい、排便などもあまりしなくなるなどは、老化の兆しと言えます。

考えられる具体的な原因と症状は次のとおりです。

尿路感染症（UTI）：尿路感染症は、特に高齢になると犬によく見られます。症状としては、頻尿、排尿困難、血尿、家の中での事故などが挙げられます。
腎臓病: 慢性腎臓病は排尿量の増加や喉の渇きを引き起こし、トイレ失敗が頻繁に起こる可能性があります。その他の症状には、体重減少、食欲減退、無気力などが含まれる場合があります。
認知機能障害症候群 (CDS) : 人間のアルツハイマー病と同様に、犬の CDS は混乱や見当識障害を引き起こす可能性があり、その結果トイレに失敗する可能性があります。CDS の犬は受けた訓練を忘れて室内事故を起こす可能性があります。
犬の糖尿病: 腎臓病と同様に、犬の糖尿病も過度の喉の渇きや排尿を引き起こし、トイレ事故の頻度が高くなります。症状には、体重減少、食欲の増加、無気力なども含まれる場合があります。
関節炎またはその他の運動性の問題: 高齢の犬は関節炎またはその他の運動性の問題を発症する可能性があり、用を足す必要があるときにすぐに外に出ることが困難になります。痛みにより、起き上がって外に出るのが遅くなる場合もあります。
失禁: 犬は加齢により膀胱の筋肉が弱くなり、失禁や不本意な尿漏れが発生することがあります。この症状は避妊手術を受けた高齢のメスによく見られますが、どの犬にも発生する可能性があります。

犬のトイレ失敗の増加に気付いた場合は、獣医師に相談することが重要です。彼らは原因を特定し、投薬、食事の変更、管理戦略など、適切な治療計画を提案します。

メガネ犬編集長

犬の老化において、行動の変化でわかりやすいのは、食事とトイレになります。食事は毎日のことなので、食べ残しがあれば変化に気が付きますし、トイレを失敗すれば、飼い主にもストレスがかかるので、失敗してほしくないので解決したいと思うので、よくよく考えると・・年齢がと気が付きやすい部分になります。

老化がわかるシニア犬の見た目の変化

犬は、人間と違い、かなりの高齢にならないと見た目にそこまでの変化が現れないように見えます。
ただ、いくつかのポイントを抑えていくと老化してきたどうかを確認することができます。

①体型が変わってきた

食べ過ぎると犬も太りますが、老化が始まると消化器官が衰えているため食が細くなり痩せる傾向にあります。

中には太る個体もいるようですが、いつもと同じように生活していて体型が変化したら、老化かもしれません。

②換毛期ではないのに、抜け毛やフケが目立ってきた

皮膚の老化は、フケの増加や、抜け毛の増加として現れます。老化により皮膚が乾燥したり甲状腺機能が低下するとこうした症状が起きます。
ブラッシングなどをしていていつもより毛が抜ける、フケが多いかをチェックしましょう。

③被毛に白髪が混じってきた

人間も年をとると髪の毛や体毛に白髪が交じることもあります。
犬の場合は顔の周りに白髪が混じり始めます。

ただし白い犬などは非常に分かりづらく、白髪以外の被毛の変化はツヤや毛の伸び方の変化です。

④普段の表情が変わってきた

犬の表情というと犬と暮らしたことのない方はびっくりしますが、喜ぶ顔、怒った顔、悲しい顔など家族はわかります。
犬が年をとると表情筋が緩み、眠そうな顔や笑っているような穏やかな顔になります。

⑤鼻の色が変わってきた

あまり知られていませんが、年をとると犬ははなの色が変わることがあります。
色が変わるというよりは、乾燥してきます。

犬の鼻は本来、しっとりと濡れているのが健康体ですが、加齢とともに乾燥し、色が薄くなることがあります。

⑥口臭が変わってきた（酸っぱいにおいがする）

犬の口も加齢で酸っぱい匂いがすることがあります。歯周病などによってそうした匂いがすることがあります。歯磨きなどを定期的にしていても、歯茎は老化しますので、歯周病にかかることもあります。
歯周病以外にも胃腸などの不調により口臭がすることがありますので、異常を感じたら獣医師に相談することをおすすめします。

メガネ犬編集長

見た目は、かなりわかりやすい部分ではありますが、毎日一緒にいると逆に気が付かない部分もあります。おそらく、飼い主が気が付く見た目の変化は明らかに老化が進んでいるといえます。

毎日接しない家族や身近な周りの人にも愛犬について以前との違いを感じるかを聞いてみるのもよいでしょう。