人間と最もかかわりの深い動物と言って真っ先に思いつくのは犬です。
犬は、古来より人間の良きパートナーとして暮らし、現在でもペットや使役犬として活躍しています。人間との関わりの中で様々に姿を変えていったため、一口で犬と言っても大きさ外見は多種多様です。
日本においては飼育頭数は2017年ペットフード協会調査 によると、ネコ952.6万頭、イヌ892.0万頭となり、同調査が開始されてから初めて逆転し犬が逆転されてしまいましたが、根強い人気を持っています。
今回は、そんな人間との関わりの深い動物である犬について歴史や身体的特長、犬種についてまとめてみました。
Contents
犬とは
広義の意味でのイヌは、イエイヌを含む狼、キツネ、タヌキ、ヤブイヌ、リカオン、コヨーテ、ジャッカル、などの総称です。
日本で言われる「イヌ」は「イエイヌ」と呼ばれる人間の手によって作り出された動物群を指します。日本ではイエイヌと分けて狼をヤマイヌと呼んでいたようです。
犬種についてはジャパンケネルクラブ(JKC)によると、
国際畜犬連盟(FCI)が公認する344犬種(2017年7月時点)を公認し、そのうち約200犬種を登録してスタンダードを定めている。 なお、非公認犬種を含めると約700 – 800の犬種がいるとされている。
また、世界全体では4億匹の犬がいるとされています。
犬の歴史
犬の祖先と言われているのは、「ミアキス」という約6000万年前の樹上生活をしていた中型肉食獣で実は猫の祖先でもあります。このミアキスの特性に近いまま、約2500万年前に最初のネコ科動物である「プロアイルルス」が誕生します。
ネコはプロアイルルスから進化した種と言われ、樹上生活を主に行っていました。イヌの祖先は一定の安全があった樹上生活の捨て、より多くの獲物を求め平原に出て集団狩猟を行い進化し、派生していったとされています。
犬が家畜化された経緯
イヌは最も古くに家畜化された動物と考えられており、人間が狩猟で主に食物を獲得していた時代から、猟犬や番犬として人間社会に組み込まれており、その中で人間から食べ物を分け与えられ暮らしていました。
この関係は、イヌにとっても人にとっても効率よく獲物を手に入れることができその後の関係性の礎になっています。
これら人間と暮らし始めたイヌは、1万5千年以上前にオオカミから分化したと推定され、野生原種はタイリクオオカミ (Canis lupus) の亜種のいずれかと考えられています。
イスラエルの遺跡で、手に子イヌらしきをものを持たせて埋葬された1万2千年ほど前の狩猟採集民の遺体が発見されており、イヌが人間社会の中でイ、古来より家畜以上だったと想像させます。
日本での犬の飼育の始まり
家畜化された犬を飼う習慣が大陸から日本に渡ってきたと考えられていますが、実際のところは不明です。
また、狩猟や、番犬以外に、縄文時代以降では食用としていたことを示唆する遺跡も出てきていますが、『日本書紀』には犬は神として登場し、(ヤマトタケルを導く白い犬)人間にとって有用な存在と考えられていたことは間違いないようです。
その後、各時代の権力者(天皇、大名、将軍など)や一般市民にも愛され、イヌは日本人にとってもかけがいのないパートナーとなっていきました。
日本犬とは
日本犬と呼ばれる犬種には3つ種類があります。
日本原産の犬種とされている純粋な血統と「和犬」と呼ばれる6犬種、地域固有犬種の地犬(ぢいぬ)と外来の犬種を日本で交配した犬種です。
和犬
日本犬と行って思いつくのが柴犬や秋田犬でしょう。その他甲斐、紀州、四国、北海道の6犬種が現存している和犬です。
・秋田犬
・甲斐犬
・紀州犬
・柴犬
・四国犬
・北海道犬
地犬
和犬のように全国的に繁殖されず、各地域のみで繁殖された犬種です。
・岩手犬(岩手県)
・川上犬(長野県)
・三河犬(愛知県)
・美濃柴犬(岐阜県)
・山陰柴犬(鳥取県、島根県)
・琉球犬(沖縄県)
絶滅したとされる地犬
戦前は多くの地犬がいたとされていますが、戦時中に犬猫が徴収され、軍事用品製作のため殺されたとされています。地犬の多くが一部地域にしかいない犬種だったため、絶滅した犬種も多くいます。
・青森犬
・赤城犬
・阿波犬
・壱岐犬
・越後犬
・秩父犬
・加州犬
・熊野犬
・日高犬
・高野犬
他
外来の犬種を日本で交配した犬種
和犬と外来種をかけ合わせたり、日本独自に海外犬種同士を交配させた犬種です。以外ですが、土佐犬も元々日本にいた犬種ではなく、外国の大型犬(マスティフなどの超大型犬など)をかけ合わせ繁殖し闘犬に特化させた犬種です。
・狆:海外から日本に入り繁殖された短吻種(たんふんしゅ)犬とペキニーズが祖先といわれる
・土佐犬:強い闘犬を生み出す目的で、四国犬と海外の大型犬種(マスティフ、グレートデーン、セントバーナードなど)を交配させた犬種
・日本テリア:日本でスムース・フォックス・テリアとイタリアングレーハウンド、トイブルテリア、トイ・マンチェスターテリアなどを交配させたとされている犬種。
・日本スピッツ:日本で、小型の白いジャーマンスピッツなどを交配しつくられた。
・アメリカンアキタ:マスティフやジャーマン・シェパードと日本犬の交配したといわれる出羽系といわれる秋田犬をアメリカで繁殖したもの
犬の身体的特徴
犬は、人間との深い関わりの中から、その役割に応じて変化し、多種多様になっています。
イヌの体の大きさは体重が最も小さいと言われるチワワで2kg前後、最も大きなイヌであるイングリッシュマスティフだ113kg(世界記録)です。最も小さいものと大きなものでも56倍以上となり、体重同様に体高も同様に大きく異なり、同じイヌとは思えない程です。
このような大きな違いは、どのような目的で繁殖されてきたかによって容姿の違いがあると言えます。
犬種について
犬種は、その生存目的や形態・用途によって10のグループ(国際畜犬連盟による10グループ制と同じ)に分類されています。以下の分類表の参照はジャパンケネルクラブです。
1.牧羊犬・牧畜犬
家畜の群れを誘導・保護することを目的とし繁殖された犬種です。
・シープドッグ(シェットランドシープドッグなど)
・キャトルドッグ(オーストラリアン・キャトル・ドッグなどただし、スイス・キャトル・ドッグを除く)
2.使役犬
番犬・警護・作業をすることを目的とした犬種です。
・ピンシャー & シュナウザー、モロシアン犬種、スイス・マウンテン・ドッグ & スイス・キャトル・ドッグ
3.テリア
穴の中に住むキツネなど小型獣用の猟犬として繁殖された犬種です。
ジャックラッセルテリア、ケアーン・テリアなど
4.ダックスフンド
地面の穴に住むアナグマや兎用の猟犬として繁殖された犬種です。極端に短い足が特徴。現在では愛玩犬の代表格になっています。
ミニチュア・ダックスフンド、カニーヘン・ダックスフンドなど
5.原始的なイヌ・スピッツ
日本犬を含む、スピッツ(尖ったの意)系の犬種です。
秋田犬、アメリカンアキタ、サモエド、シベリアンハスキー、ポメラニアン、日本スピッツなど
6.嗅覚ハウンド
大きな吠声と優れた嗅覚で獲物を追う獣猟犬として繁殖された犬種です。
バセットハウンド、ダルメシアン、ビーグル、ハリアなど
7.ポインター・セター
獲物を探し出し、その位置を静かに示す猟犬として繁殖された犬種です。
アイリッシュセッター、イングリッシュ・セッター、ワイマラナーなど
8.レトリーバー、スパニエル、ウォーター・ドッグ(7G以外の鳥猟犬)
7グループ以外の鳥猟犬として繁殖されて犬種です。
ラブラドール・レトリーバー、アメリカン・コッカー・スパニエル、カーリーコーデットレトリーバーなど
9.愛玩犬(ペット、コンパニオンドッグ)
家庭犬、伴侶や愛玩目的の犬として繁殖された犬種です。
シーズー、チベタンスパニエル、チワワ、狆、パグ、パピヨン、ビションフリーゼなど
10.視覚(サイト)ハウンド
優れた視覚と走力で獲物を追跡捕獲するために繁殖された犬種です。
アイリッシュ・ウルフハウンド、イタリアン・グレーハウンド、ウィペット、アフガンハウンドなど
身体能力(視覚・聴覚・嗅覚)
臭覚
犬の感覚で最も優れているのは嗅覚です。嗅ぎ分けるのに得手不得手があるため、幅がありますが、人間の1000倍〜1億倍と言われています。そのため匂いの分子の濃度が薄くても嗅ぎ分けられることが可能です。
生きていくために重要な有機物の匂いには敏感ですが、犬の生活に必要のない花や自然界に存在しない物質の匂いには鈍感ですが、訓練をすることで嗅ぎ分けることも可能です。
聴覚
聴覚も非常に優れており、「可聴域」といわれる音を聞き取れる領域が人間と比べると優れています。
人間の可聴域は20~20,000ヘルツといわれ、犬の可聴域は40~65,000ヘルツと言われています。下限の可聴域はさほど変わりませんが、上限が大きく違うのは、犬は獲物になる小動物の声をいち早く聞き取るためと言われています。
視覚
一方で視覚については、人間よりも劣り、視力で0.2程度しかないと言われています。
具体的には、人間の視神経が約120万本であるのに対し、犬の視神経は約17万本しかなく人間が視覚に頼り生きているのに対し、嗅覚、聴覚に頼りに生きていると言えます。
運動神経について
犬の運動神経は、走ること、追うことに特化していると言えます。
群れで追い込みをかけたり逃げる小動物を追いかけ、捕まえることが出来ます。
走るスピードは犬種にもよりますが、自動車と変わらないスピードで走ることが可能です。しかも持続力があり、追い切ることを可能にしています。
一方で跳躍力や瞬発力は優れていないわけではありませんが、犬と同じペットの代表格である猫と比較した場合劣ります。進化の過程で木の上から平地にその活動を移し、獲物も平地に生息している動物となったからと言えます。
犬の知能はどの程度か
一般的には2〜3歳といわれており、人間の感情や言葉を理解することができます。ただ、善悪の判断は難しく、この部分については、トレーニングが必要です。
犬種によって特に知能が高いといわれるのが、ボーダーコリーやジャーマン・シェパードなどで、2〜5歳程度はあると言われています。ただし、知能が高いということは、飼い主にも高いリーダーシップが必要となるため、日頃からよく観察しており、主人と認められないような振る舞い(指示が曖昧、甘やかすなど)があると、コントロールが聞かなくなるため初心者には向かない犬種と言えます。
こうした知能の高い犬種はそれぞれの能力を活かし、高度な訓練が必要な競技犬や警察犬などで活躍しています。
犬のかかりやすい病気
犬は多種多様な犬種があり、犬種ごとにかかりやすい病気が異なるため、ペット保険会社などが出している統計では飼育頭数が多いものに偏る可能性もあります。ただ混合ワクチン接種を行う伝染病については全犬種共通といえ
伝染病
犬にはいくつかの恐ろしい伝染病があり、コアワクチン・ノンコアワクチンなどの混合ワクチンで防げる一方で、未摂取の場合は罹患すると命にかかわることもあります。
狂犬病
人を含めた全ての哺乳類が感染し、発病すると治療方法がなく、悲惨な神経症状を示してほぼ100%死亡する極めて危険なウイルス性の人獣共通感染症です。
日本では撲滅されたとされている疾病ですが、近年台湾、中国など隣国では存在が確認されており、犬以外からの媒介もあり得るため、いつ国内における再発が起こってもおかしくないといえます。
犬ジステンバー
犬ジステンバーウィルスを原因とする犬だけでなく、猫目も罹患する感染症です。
症状としては、高い熱、目ヤニ、鼻水、クシャミが出て、元気・食欲が減退します。
嘔吐や下痢、ケイレンなどの神経症状を起こす場合もあり、特に子犬では、死亡率も高い伝染病です。
犬伝染性肝炎
アデノウィルス科に属する犬アデノウィルス1型感染を原因とし、咳やクシャミなど感染動物の糞尿・唾液・血液を介し、経口・経鼻から感染し、発症します。
症状としては、高熱、嘔吐、下痢、元気・食欲の減退、目の白濁などが起こるなど様々な異常を起こし、無症状のまま突然死することもある危険な伝染病です。
犬アデノウイルス2型感染症(犬伝染性喉頭気管炎)
アデノウィルス科に属する犬アデノウイルス2型感染を原因とし、感染動物の咳・クシャミなどの飛沫から感染し、発症します。
発熱、食欲不振、クシャミ、鼻水、咳、喉や扁桃が腫れるなどの症状が起きます。特に、他のウイルスや細菌との混合感染により肺炎は悪化した場合死亡するケースも有りえます。
犬パラインフルエンザ
犬パラインフルエンザは、パラインフルエンザウイルス(CPIV)の感染を原因とし、感染動物の咳・クシャミなどの飛沫から感染し、発症します。
呼吸器症状を特徴とするウイルス性の感染症で、水様性の鼻水、咳、軽度の発熱、扁桃の腫れなどが引き起こされます。一般的には、人間の風邪のような症状で、単独感染では軽度の症状で収まります。
一方で、混合感染が起こると一気に重症化します。特に犬アデノウイルス2型、ボルデテラ・ブロンキセプチカ(Bb)などとの混合、あるいは二次感染は、「ケンネルコフ」と呼ばれ、繁殖施設やペットショップなど集団飼育の場では、感染が広がり、幼犬においては、命にかかわることもあります。
犬パルボウイルス感染症
犬パルポウィルスへの感染により発症し、感染した犬の糞便の中に排泄されるウイルスが口や鼻から次の犬に感染し広がっていきます。
非常に強いウィルスで一般的な消毒(逆性石鹸・アルコール等)では死滅せず、ホルマリンや次亜塩素酸ナトリウムなどでないと消毒できません。そのため人間の靴から室内の犬に感染することもあります。
主な症状としては、食欲減退、発熱、嘔吐、激しい下痢(血便)が起き、重症になると脱水が進み衰弱し、短い経過で死亡することもある、伝染力が強く、非常に死亡率が高い感染症です。
犬コロナウイルス感染症
犬コロナウィルス感染症とは、犬コロナウイルス(CCV)によって起こるウイルス性の感染症で、感染した犬の糞便の中に排泄されるウイルスが口や鼻から次の犬に感染し広がっていきます。
主な症状としては、嘔吐、下痢、脱水を起こします。症状としては軽度で感染しても全く症状が起きないケースも有ります。
ただし幼犬など体力が整っていないケースでは、犬パルボウイルスなど他のウイルスや細菌などの複合感染・二次感染を誘発し、重症になることもあります。
犬レプトスピラ感染症コペンハーゲニー
犬レプトスピラ感染症にはいくつかのタイプはあり、それぞれレプトスピラという細菌に感染することで発症します。感染動物の糞尿やそれらに汚染された水・土を介し皮膚や口、鼻という感染経路です。人にも感染し、ワイル病の原因菌として恐れられています。
コペンハーゲニーは、重症型の犬レプトスピラ感染症で、嘔吐やはぐき等の出血・黄疸、急性の腎炎、肝炎、高熱によって、体温が低下から急死する事もあります。
犬レプトスピラ感染症カニコーラ
コペンハーゲニー同様に重症型の犬レプトスピラ感染症で、レプトスピラという細菌に感染することで発症します。感染動物の糞尿やそれらに汚染された水・土を介し皮膚や口、鼻という感染経路です。
主な症状としては、腎炎、肝炎症、発熱、元気・食欲の減退です。また、重症化すると、腎臓が腫れ、嘔吐や血便などの症状も起き、死亡する事もあります。
犬レプトスピラ感染症ヘブドマディス
人のレプトスピラ症<秋疫(あきやみ)B>のレプトスピラ菌(ヘブドマディス株)により起こる感染症です。
カニコーラ、コペンハーゲニー同様に感染動物の糞尿やそれらに汚染された水・土を介し皮膚や口、鼻という感染経路ですが犬への病原性は低いと言われています。
ただ感染した場合、腎炎、肝炎を併発する事もありカニコーラ、コペンハーゲニーと同じように重症化し死亡率も高い感染症です。
犬の寿命
犬の寿命は、犬種や大きさによって異なります。小型犬では13〜15歳、中型犬なら10歳〜12歳、大型犬で8歳〜10歳といった形です。
また、室内飼いか外飼い家によっても寿命に違いがでます。前述した感染症、外敵、栄養環境や交通事故などが寿命が短くなる原因です。
最高齢は非公式だがオーストラリアン・ケルピーの30歳と言われています。
犬の習性の特徴
ここでは、犬の特徴的な習性について解説します。
犬は元々群れで生きる動物でしたが、人間と過ごす期間が長く、食べ物の分け与えられたことで雑食になっていったと考えられています。群れで生きる動物のため、より強いものに従う習性を人間が利用することで、人間社会にもうまく溶け込むことができました。
群れで生きる中で、階級意識や縄張り意識が強いといった習性があります。
階級意識について
群れの中で自分はどの序列なのかというものが、犬類では細かく決まっていると言われておいます。
具体例としては、飼育された狼の群れです。飼育された狼の群れは、最も地位の高いオスとメスの1組のつがいと、自分たちが産んだ子獣たちから構成されており、下の地位の狼には繁殖権はなく、より強力な種を残すため、非常に顕著な階級意識があると言えます。
飼育された狼ほどで顕著ではないものの、犬にも階級意識があり、階級意識に基づく行動なをとることがあります。
階級意識に基づく行動例
飼育されている犬でも、以下のような行動を起こし自分が家族の中で上の地位である事を誇示してくるケースがあります。
・他の犬や家族にのしかかる(マウンティング)
・成犬になってもリードを飼い主よりも前で引っ張り続ける
・おもちゃを離さない
・一部の家族のみ噛みつく
など
これらの行動を許し続けると問題行動をとり続け、飼い主の指示を聞かない犬になります。このようなことになる前に、きちんとしたしつけをし、誰が家族のリーダーなのかを明確に示すことも必要です。
階級意識がすべての犬にあてはまらないことも
一般的なしつけの現場でも、階級意識を利用したしつけを行うことが多いようですが、昨今では、階級意識はすべての犬には当てはまらないのではないかということも言われています。
前述した飼育した狼と野生の狼では、後者の野生の狼には厳しい階級意識は存在せず、野生化した犬にもこうした階級意識がないようです。
狼と違い犬は、多種多様に繁殖され、姿や性格も異なります。より狼に近いシベリアンハスキーや原種の日本犬などには同じような特徴見られることもありますが、穏やかな性格で知られるラブラドールなどにはこうした階級意識が低いと言われています。
ですから、環境や犬種、さらには個々の性格によっても階級意識があるかは異なり、流動的なものと考えたほうがよさそうです。
縄張り意識について
犬が敷地内に入った人間に対して吠えるのは、縄張り意識があるからと言われています。こうした習性を活かし番犬として活躍してきました。
そもそもなぜ縄張り意識があるかというと、イヌ類が群れで子育てをする場合、安全な場所が必要で、さらに育てるための獲物を確保するためです。そのため外敵が侵入した場合は、実力行使をし追い払うのです。イヌ類の子供でも生後半年までにこうした縄張り意識が芽生え、見知らぬ侵入者には威嚇行動を起こします。
遠吠えについて
犬の遠吠えについては、諸説あり、仲間との交信、寂しさなどの感情表現、異性へのアピールなど様々理由があるようです。
飼育されているイヌでは、多頭飼いや近所のイヌが吠えると呼応して吠えることがあります。またストレスから遠吠えをすることもあります。
犬の感情表現について
犬の感情表現は豊かで、表情・耳・尾手感情表現をします。
他の動物と比べ感情表現は豊かで、怒り・喜びといった感情は誰が見ても分かるレベルです。尾は動きが大きいほど喜び、尾が下がっている場合は恐怖あるいは怒りを示しています。
怒り
尾は下がり、低くうなりながら牙を剥きます。大きな声で吠え威嚇します。
興奮すると上半身を低くし襲いかかる体制に入ります。飼育している犬がここまでの怒りを見せることは少ないですが、気性の荒い個体に関してはこうした怒りの表現をすることもあります。
怯え
尻尾を足の間に巻き込み、悲しげな声でになり、挙動不審になります。耳は後ろに伏せ、逃亡する体制になります。
喜び・親しみ
尾を振り、飛びつく仕草をみせたり、飛び跳ねたりします。笑っているような表情になり、体を擦り付けたり、親愛を示します。喜びが大きいと、尻尾が回転していることもあります。
犬の繁殖(発情・交尾・出産)
犬が性成熟を迎えるのは、オスで生後5カ月、メスで生後4~12カ月といわれ、犬種や個体差があります。
メスは、性成熟を迎えると、初めての発情出血があり、その後年2回、半年おきに発情するようになります。オスはメスのフェロモンに反応して発情するようになります。
交配から63日程度で出産、早産はあまりなく、個体によっては10匹を超えることあります。
犬は日本では安産の象徴となっていますが、現在人気の犬種は小型犬が多く難産のケースも少なくありません。特にチワワなどは、出産はほぼ帝王切開となり正常な出産は望めません。犬は安産だからと思わず、妊娠・出産を考えている場合は、必ずかかりつけ医に相談しましょう。
犬を迎え入れるには
日本で犬を飼おうと考えた場合一般的なのは、ペットショップでの購入です。人気犬種を中心に、最短でその日のうちに迎え入れることができます。
また、価格がおさえられることから、ブリーダーからの直販も近年では増えているようです。
一方で、こうしたペットショップ、ブリーダー直販では、幼いほどよく売れるため高値で取引されます。そのため、親元から離すには幼すぎ、免疫が満足に整っていないなど問題も発生します。この部分については法令が整えられており、8週齢での販売をしない流れができてきています。
こうした流れや、殺処分が社会的な問題にもなったこともあり、保護団体や動物愛護施設からの迎え入れも一般的になりつつあります。
こうした犬の里親に関してご興味がある方は、「ペット(犬猫小動物など)の里親になるために必要なこと 里親募集の探し方や基準・条件・かかる費用などのまとめ」をご参照ください。
まとめ 犬は人間の最良の友であり続ける
本記事では、犬とは何か、犬の起源や歴史、身体的特性、習性、品種の分類、そして出産・発情について詳細に説明してきました。その過程で、犬が人間社会にどのように組み込まれ、そしてその存在が私たちの生活にどれほど影響を与えているかを再確認することができました。
犬は古代から人間の最良の友であり、その歴史は人間の歴史と共に歩んできました。人間の生活環境や社会の変化に伴い、彼らの役割も進化してきました。彼らが人間社会に果たしてきた役割は、保護者、労働者、友人、そして家族まで、多種多様です。その結果、現在では多様な犬種が存在し、それぞれが特異な特性や能力を持っています。
犬の身体的特性や感覚能力は、その犬種の起源や用途により大きく異なります。視覚、聴覚、そして特に優れた嗅覚は、犬が非常に優秀な助けとなる理由の一つです。これらの特性により、彼らは様々な状況で人間を助け、私たちの生活を豊かにしてくれます。
この記事を通じて、犬という存在が私たち人間の生活にどれほど深く根ざし、私たちの歴史や文化、生活の様々な側面に影響を与えてきたかを理解していただけたことでしょう。そしてこれからも、彼らは私たち人間の最良の友であり続けるでしょう。この信頼性と忠誠心は、犬と人間との特別な関係を形成する上で重要な要素であり、私たちが彼らをこれほどまでに愛する理由の一つです。
まとめとして、犬は私たちの歴史、文化、社会の一部であり、これからも私たちの生活に大きな影響を与え続けるでしょう。その存在を理解し、彼らとの絆を深めることで、私たちの生活はより豊かで有意義なものになるでしょう。
犬とは 犬の歴史や身体的特徴、習性、犬種のグループ、出産・発情に関してよくある質問 Q&A
質問1:犬が最初に家畜化されたのはいつ頃ですか?
回答1:犬が家畜化された正確な時期は明らかになっていませんが、科学的な証拠によれば、犬が最初に家畜化されたのは約1万5千から4万年前、すなわち旧石器時代の終わりから新石器時代の始まりにかけての期間と考えられています。
質問2:犬種のグループ分けはどのように行われていますか?
回答2:犬種はその用途、特性、体型、起源などに基づいて分類されます。例えば、牧羊犬、使役犬、テリア、嗅覚ハウンドなどがいます。それぞれのグループは特定の特性や能力を持っており、特定の作業や役割を担うために育成されました。
質問3:犬の感覚能力の中で最も優れているのはどれですか?
回答3:犬の感覚能力の中で最も優れているのは嗅覚です。犬の嗅覚は人間のそれよりも非常に優れており、特定の香りを追跡したり、病気を検出したりすることが可能です。
質問4:犬は階級意識を持っていますか?
回答4:はい、多くの犬は階級意識を持っています。これは犬が野生の狼から進化した過程で持ち続けてきた特性であり、人間の飼育下という群れの中での自身の位置を理解し、適切な行動を取るためのものです。ただ、これらは人間の解釈であり、実際は階級意識はもっておらず、飼い主を母犬のような感覚として、慕い敬っているという考えも広がっています。
支配的な傾向の犬は、正しくは、神経質、不安症な性格と考えられることが多くなっております。
質問5:犬の発情周期はどのくらいですか?
回答5:犬の発情周期は個々の犬や犬種によりますが、一般的には1年に2回、約6か月おきに発情します。ただし、小型犬は大型犬よりも発情周期が短い傾向があります。